建設業のホームページ運用で成果を出す会社には、共通点があります。 それは、「数字を見ながら改善している」ということです。
逆に、勘や経験だけで判断してしまう会社は、 せっかくホームページを作っても、問い合わせが安定しません。
本記事では、建設業が最も少ない負担で、最大の効果を出すために、 GA4(Googleアナリティクス)とGoogleビジネスプロフィールをどう活用すべきかを、テンプレ付きで解説します。
複雑な設定や専門用語は不要です。 建設業社長が毎月3分確認するだけで、会社の集客の方向性が“数字で分かる”ようになります。
なぜ建設業こそアクセス解析が必要なのか
建設業のホームページは、飲食店やECサイトのように毎日アクセスが何千とあるわけではありません。 しかし、アクセス解析の重要性はむしろ建設業の方が高いと言えます。
理由はシンプルで、
少ないアクセスの中に“本気の見込み客”が混じっているから
です。
外構、造成、解体、内装、水道工事…… いずれも「地域 × 工事名」で検索するユーザーが多く、 彼らは明確な目的を持っています。
つまり、1アクセスの価値が非常に高いのです。
このアクセスをムダにしないためには、
- どの工事ページが見られているのか
- どの施工実績が人気なのか
- どの投稿がGoogleで評価されているのか
を“数字で理解する”ことが不可欠です。
GA4で最初に見るべき3つの数字(建設業特化版)
GA4は複雑で分かりにくいという声が多いですが、 建設業の場合、見るべき数字はたった3つです。
これだけで、会社の集客状況が手に取るように分かります。
①【ページ別】どの工事ページが読まれているか
建設業で最も重要なのは、どの工事の需要が高まっているか?という点です。
GA4では「ページ別訪問数」の項目で、以下が分かります。
- 外構工事ページのアクセスが増えている
- 解体工事ページの滞在時間が短い → 内容不足
- 舗装工事ページが全く読まれていない → 市場が小さい or 認知が弱い
これが分かると、
- どの工事を強化すべきか
- どの工事の施工実績を増やすべきか
- どの工事ページをリライトすべきか
が“数値で判断できる”ようになります。
②【集客経路】ユーザーはどこから来ているのか
建設業の集客経路は大きく4つしかありません。
- Google検索(SEO)
- Googleビジネスプロフィール(マップ)
- チラシ・名刺からの直接アクセス
- SNS(Instagram・X)
GA4の「トラフィック」項目では、
- ホームページの訪問者の半数がGoogle検索なのか?
- Googleビジネスからの流入は何人か?
- 名刺・チラシからのアクセスがあるか?
が分かります。
特に、建設業で強化すべき経路は2つだけ:
- SEO(工事ページ)
- Googleビジネスプロフィール(マップ)
この2つを伸ばせば、問い合わせ数は安定します。
③【セッション数】今月の集客状況をざっくり把握
セッション数は、簡単に言うと「訪問者数」です。
建設業の場合:
- 月間300〜800アクセス → 普通
- 月間1,000以上 → 強い(工種が広い会社)
- 月間150以下 → 伸びしろが大きい
数字が少ないと悲観する方が多いですが、 建設業は1アクセスの価値が高いので、 月300アクセスでも3件〜7件の問い合わせが来ている会社は多くあります。
Googleビジネスプロフィールで見るべき数字
Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)は、 建設業集客の“心臓部”と言えるほど重要です。
ここでは、必ず押さえるべき数字を厳選して解説します。
① 検索回数(表示回数)
「外構工事」「解体」「舗装」などの工事名検索でどれだけ表示されているか。 月1,000回表示されれば良好、2,000〜3,000ならかなり強い状態です。
ここが伸びていない会社は、
- カテゴリ設定のミス
- サービス(工事名)の未登録
- 写真が少ない
この3つが主な原因です。
② マップ表示回数
地図表示は「ローカルパック」での露出量を示します。
ここが伸びると、問い合わせ数が比例して増えます。
表示回数 → 電話・経路 → 訪問・問い合わせ
という流れを作れれば、安定した集客が実現できます。
③ 電話タップ数
建設業は電話問い合わせが非常に多いため、 この数字は直接的な売上につながります。
月1〜5件 → 小規模 月10件以上 → 良好 月20件以上 → 強い
というイメージです。
④ 経路案内のクリック数
建設業にも意外と効果があります。
資材引取、来社打ち合わせ、採用応募者の来訪など、 さまざまな行動の前段階だからです。
⑤ 投稿の閲覧数
施工実績の投稿は、閲覧数が増えるほど検索評価が上がります。
月4投稿(週1回)が最も効率的です。
⑥ 写真の閲覧数
施工写真の閲覧数は、“会社の技術力の可視化”になります。
投稿頻度の高い会社ほど閲覧数が伸び、順位も安定します。
GA4とGoogleビジネスプロフィールを“セット”で見ると分かること
GA4とGoogleビジネスプロフィールは、どちらか一方だけを見ても片手落ちです。 両方をセットで見ることで、初めて「数字から意思決定ができる状態」になります。
▼ ① 施工実績を更新したあとの数字の動き
施工実績を1件追加すると、通常は次のような変化が起こります。
- GA4:施工実績ページのPVが増える
- GA4:関連工事ページ(外構・解体など)のPVも増える
- GBP:投稿写真の閲覧数が増える
- GBP:検索表示回数がじわじわ増える
この動きを確認できると、
「施工実績を増やせば増やすほど、数字がちゃんと伸びている」
ことが実感でき、継続するモチベーションにもなります。
▼ ② どの工事に力を入れるべきかが分かる
- GA4で「工事別ページのPV」を見る
- GBPで「検索回数」「写真閲覧数」を見る
この2つを見比べることで、
- 外構:PVも検索数も多い → さらに強化すべき柱の工種
- 解体:検索は多いがPVが少ない → ホームページ側の情報不足
- 舗装:PVは少ないが成約率が高い → 小さいが“おいしい”市場
といった判断ができるようになります。
つまり、
「どの工事に広告費をかけるべきか」 「どの工事の実績更新を優先するべきか」
といった意思決定を、勘ではなく数字で行えるようになるのです。
▼ ③ 求人ページの数字も必ずチェックする
採用を強化したい場合は、次の2点を確認してください。
- GA4:求人ページのPV・滞在時間
- GBP:求人投稿の閲覧数・クリック数
ここが動いているかどうかで、
- ホームページの求人ページが機能しているか
- Google上で「求人がんばっている会社」と認識されているか
を判断できます。
建設業向け「改善アクション」テンプレ
数字を見て終わりでは意味がありません。 具体的に「数字を見たあとにどう動くか」が重要です。
▼ ケース①:外構ページのPVが高い場合
- 外構の施工実績を毎月1件以上追加
- 外構工事ページの文章を増やす(1,500〜3,000字)
- Googleビジネスに外構のBefore/Afterを投稿
▼ ケース②:解体ページのPVが少ないが、問い合わせが来る場合
- 解体専門の施工実績ページを増やす
- よくある質問(費用・近隣対応・騒音など)を追加
- 解体キーワードでのSEOを強化(タイトル・見出し見直し)
▼ ケース③:求人ページのPVはあるが応募が少ない場合
- 人物写真を追加(代表・スタッフ・現場風景)
- 1日の流れ・先輩インタビューを増やす
- 求人用のGoogleビジネス投稿を月1回行う
▼ ケース④:全体のアクセスが少ない場合
- 工事別ページの数を増やす(対応工種ごとに1ページ)
- 施工実績を継続的に更新
- Googleビジネスの写真・サービス設定を見直す
大切なのは、「数字 → 原因の仮説 → 小さな改善」を繰り返すことです。
毎月の運用ルーティン(これだけやればOK)
建設業の社長が実務の合間にアクセス解析をする場合、 次のような「月1回・30分ルーティン」をおすすめします。
▼ ステップ1:GA4で確認(15分)
- 今月のセッション数(訪問数)
- 工事別ページのPVランキング
- 施工実績ページのPVトップ3
- 求人ページのPVと滞在時間
▼ ステップ2:Googleビジネスプロフィールで確認(10分)
- 検索回数・マップ表示回数
- 電話タップ数
- 施工写真の閲覧数
- 新しい口コミの有無と返信状況
▼ ステップ3:翌月の改善アクションを1〜3個決める(5分)
- 外構の実績を2件増やす
- 解体ページを書き直す
- 求人ページに写真を追加する
この「確認 → 決める」を毎月続けるだけで、 ホームページは放置されずに育っていく資産になります。
建設業社長のためのアクセスレポートテンプレ(コピペ用)
最後に、社内やパートナーと共有するための、 「シンプルな月次レポートテンプレ」を用意しました。
【今月のホームページ・集客レポート】 ■1. サイト全体 ・セッション数(訪問数):◯◯件(先月比:+◯◯%/−◯◯%) ・新規ユーザー:◯◯人 ■2. よく見られたページTOP5 1位:◯◯工事ページ(◯◯PV) 2位:◯◯工事ページ(◯◯PV) 3位:施工実績:◯◯市◯◯工事(◯◯PV) 4位:求人ページ(◯◯PV) 5位:会社概要(◯◯PV) ■3. Googleビジネスプロフィール ・検索表示回数:◯◯回 ・マップ表示回数:◯◯回 ・電話タップ数:◯件 ・経路案内クリック数:◯件 ・新規口コミ数:◯件(合計◯件/平均★◯.◯) ■4. 問い合わせ・応募 ・問い合わせ件数:◯件(電話◯/フォーム◯) ・求人応募件数:◯件 ■5. 来月のアクション ・◯◯工事の施工実績を2件追加 ・求人ページに人物写真を追加 ・Googleビジネスプロフィールに施工写真を週1回投稿
このテンプレを毎月1回埋めるだけで、 「なんとなくやっている集客」から、 「数字で判断できる集客」に変わります。
まとめ|数字を見る会社は必ず強くなる
建設業のホームページ運用で大切なのは、 派手なツールや複雑な分析ではありません。
- どの工事ページが読まれているか
- どの施工実績が見られているか
- Googleビジネスプロフィールでどれだけ表示・クリックされているか
この“基本の数字”を押さえ、
- よく見られているページをさらに強くする
- 見られていないページを改善する
- 施工実績とGoogleビジネスプロフィールの連動を続ける
これを繰り返せば、集客は必ず安定していきます。
勘と経験に、少しだけ「数字」という武器を足す。 それだけで、建設業のホームページは“経営の意思決定に使えるツール”へと変わっていきます。


