造成工事はどの許可が必要?──土木一式・とび土工の判断基準をわかりやすく解説

土地の整地・切土(きりど)・盛土(もりど)・擁壁工事などを含む「造成工事」。住宅造成から商業地開発まで幅広く行われますが、建設業許可の区分が複雑で「どの許可で造成ができるのか分からない」という相談が非常に多い工種です。

結論から言うと、造成工事に必要な許可は以下の2つのどちらかです。

  • 土木一式工事業
  • とび・土工・コンクリート工事業

本記事では、この2つのどちらを取ればよいのか、規模・内容・工事の複雑性から判断する基準をわかりやすく解説します。

造成工事とは何か

造成工事とは、建築物を建てたり、土地を利用できるようにするために、土地を整形する工事の総称です。代表的な造成内容は以下のとおりです。

  • 切土・盛土
  • 地盤改良
  • 擁壁工事
  • 排水設備・側溝整備
  • 区画整備
  • 土地の高低差の調整

造成工事は、建物を建てる前の「準備工事」であり、土地の安全性・安定性を確保する重要な工種です。

造成工事に必要な許可は2種類

造成工事に必要な建設業許可は、次のいずれかです。

① 土木一式工事業の許可

大規模で複合的な造成工事を請け負う場合に必要です。擁壁工事・排水設備整備・道路接続など、多数の工種が一体となるケースは「一式工事」と判断されます。

② とび・土工・コンクリート工事業の許可

軽微な造成や単一的な切土・盛土など、比較的規模が小さい造成工事は「とび土工」で対応できます。

ポイントは、工事の規模と複合性です。

造成工事が「土木一式」になるケース

以下の場合は土木一式工事業の許可が必要と判断されます。

  • 宅地造成や開発行為を伴う大規模工事
  • 擁壁・排水設備・道路など複数工種が含まれる工事
  • 施工管理が複雑で“総合工事”としての性質が強い場合
  • 工事金額が大きく、重機・施工計画が必要な場合

例: 「50区画の造成を行い、道路整備・排水管敷設・擁壁設置を行う」 → 明らかに土木一式工事です。

造成工事が「とび土工」でできるケース

以下の場合は「とび・土工・コンクリート工事業」で施工可能です。

  • 小規模な切土・盛土
  • 住宅1区画の高さ調整
  • 地盤の軽微な整形
  • 狭小地の小規模造成

例: 「戸建て1棟のために地盤を少し削って整形する」 → とび・土工で施工可能。

ざっくり判断する基準(分かりやすい早見表)

工事内容必要な許可
宅地開発・大規模造成土木一式工事業
複合工種をまとめる造成土木一式工事業
小規模な切土・盛土とび・土工工事業
1区画の整形程度とび・土工工事業

造成工事は、規模の大小ではなく、“工事が総合性を帯びているかどうか”で判断されます。

よくある誤解:造成工事は全部「土木一式」でないとできない?

実はそうではありません。 多くの事業者が勘違いしていますが、次の点がポイントです。

  • 造成のすべてが「土木一式」ではない
  • 軽微な造成なら「とび・土工」で十分可能
  • 重要なのは複合性・規模・施工管理の難易度

とび・土工工事業だけで対応できる造成工事は実は多く存在します。

造成工事を行うには500万円以上で許可が必要

建設業許可が必要かどうかは金額でも判断されます。

  • 工事金額が500万円(税込)未満 → 許可不要
  • 工事金額が500万円以上 → 許可が必要

ただし、元請けや自治体仕事をする場合は、金額に関係なく許可が求められるケースが一般的です。

まとめ:造成工事の許可は「複合性」で判断する

造成工事に必要な建設業許可は、次の2つのいずれかです。

  • 土木一式工事業
  • とび・土工・コンクリート工事業

土木一式になるか、とび土工で済むかは、工事の規模・複合性・管理内容によって判断されます。造成工事の許可判断に迷う場合は、専門家に相談しながら進めることをおすすめします。

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