屋根工事業とは?──できる工事・板金工事との違い・許可が必要なケースをわかりやすく解説

屋根工事業とは、瓦・スレート・金属屋根などの屋根材を取り付ける工事を行う建設業の専門業種です。雨漏りを防ぎ、建物を長く守るために欠かせない工種であり、新築・リフォームの双方で需要の高い分野です。

本記事では、屋根工事業でできる工事・できない工事、板金工事・防水工事との違い、建設業許可が必要なケースをわかりやすく解説します。

屋根工事業とは

屋根工事業とは、瓦・金属・スレートなどの屋根材を葺き替える工事を行う専門業種です。屋根の「仕上げ」に関わる工種であり、風雨から建物を守るための重要な役割を担います。

伝統的な和瓦から、近年普及している軽量金属屋根(ガルバリウム鋼板)まで、幅広い屋根仕上材に対応するのが屋根工事業者です。

屋根工事業でできる工事

屋根工事業者が行える工事は主に以下のとおりです。

  • 瓦屋根の施工・葺き替え(和瓦・洋瓦)
  • スレート屋根(コロニアル等)の施工・張替え
  • 金属屋根(ガルバリウム・銅板等)の施工
  • 屋根の防水シート(ルーフィング)の施工
  • 棟板金・雪止め金具の取り付け
  • 屋根の軽量化リフォーム

屋根材の種類によって施工方法が大きく異なるため、専門知識が求められる工種です。

屋根工事業でできない工事

屋根工事と似ている工事でも、以下は屋根工事業の許可では単独で行えません。

  • 外壁工事(→ 塗装工事 / 防水工事 / サイディング工事)
  • 雨樋工事(→ 板金工事 / 管工事)
  • 屋上防水(→ 防水工事)
  • 太陽光パネルの電気接続(→ 電気工事)

よくある誤解として、「屋根に関係する工事は全部屋根工事でできる」と思われがちですが、法的には工種が異なります。

屋根工事業と板金工事業の違い

特に混同されやすいのが「屋根工事」と「板金工事」です。

屋根工事業の範囲

  • 屋根材の施工・葺き替え
  • 下葺き材(ルーフィング)の施工

板金工事業の範囲

  • 金属屋根の加工・取り付け
  • 雨樋の取付・調整
  • 外装板金

特に金属屋根(ガルバリウム鋼板等)は、屋根工事なのか板金工事なのか分かりにくいケースがあります。 業界では、屋根工事と板金工事が“両方関わる工事”として扱われることが多いのが実情です。

屋根工事業と防水工事業の違い

屋根の仕上げはできても、「屋上防水」は防水工事業の範囲です。

特に勘違いされやすい例:

  • 陸屋根(フラット屋根)の防水施工 → 防水工事業が必要
  • 外壁からの雨漏り補修 → 防水工事または塗装工事

屋根工事=雨漏り対策というイメージから誤解されがちですが、防水の責任範囲は別の許可区分です。

屋根工事業に建設業許可が必要なケース

以下の場合、屋根工事業の建設業許可が必要になります。

  • 請負金額が500万円(税込)以上となる場合
  • 元請として屋根リフォームを行う場合
  • 公共工事に参加する場合

一方、500万円未満の工事は許可が不要です。ただし、元請・ハウスメーカー・工務店は許可業者を指定することが多く、許可を持つメリットは大きいといえます。

屋根工事の専任技術者に必要な資格

屋根工事業の専任技術者(専技)は以下のいずれかで要件を満たします。

資格で満たす場合

  • 瓦屋根工事技士
  • 技能検定(かわらぶき)1級・2級
  • 施工管理技士(建築)

実務経験で満たす場合

屋根施工(瓦・スレート・金属屋根)の実務経験が10年以上。

屋根工事の現場例

  • 瓦屋根の葺き替え
  • スレート屋根の張替え
  • 金属屋根への軽量化リフォーム
  • 台風被害の屋根補修
  • 棟板金の交換工事
  • 新築住宅の屋根施工

特に近年は、耐震性向上のための軽量化リフォームの需要が増えている工種です。

まとめ:屋根を守り、建物を長持ちさせる重要工種

屋根工事業とは、瓦・スレート・金属などの屋根材を施工する建築系専門工事です。板金工事・防水工事との違いを理解することで、適切な許可区分や施工範囲が明確になります。

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