大工工事業とは?──できる工事・建築一式との違い・必要な許可をわかりやすく解説

大工工事業とは、木材を加工・組み立てし、建築物の骨組み(躯体部分)をつくる工事を行う業種です。戸建住宅の建設はもちろん、内装工事や造作工事など、建築物の仕上がりを左右する重要な工種として位置づけられています。

本記事では、大工工事業でできる工事・できない工事、建築一式工事との違い、建設業許可が必要なケース、よくある誤解などをわかりやすくまとめます。

大工工事業とは

大工工事業とは、建築の構造部分や内装をつくるために、木材を加工・組み立てを行う工事のことです。建物の骨組みを作る「躯体工事」、部屋を仕上げる「造作工事」など、木造・軽量鉄骨造の建築物を中心に活躍する工種です。

住宅建築の現場では最も重要な職種のひとつであり、仕上がりの品質に直結する工事として専門性が求められます。

大工工事業でできる工事

大工工事業で行える工事は以下のとおりです。

  • 木造住宅の骨組み(柱・梁・土台)工事
  • 床・壁・天井の下地づくり
  • 造作(カウンター・棚・枠材など)の施工
  • 階段の施工
  • 建具の枠・敷居の施工
  • 軽量鉄骨造(LGS)の間仕切り工事

「木を加工して・組み立てて・建築物の一部を作る工事」が中心というのが大工工事業の特徴です。

大工工事業でできない工事

一方、大工工事業では以下の工事は行えません。

  • 建物全体の新築・増改築(→ 建築一式工事の範囲)
  • 電気・給排水設備工事
  • 左官工事・屋根工事・塗装工事など専門工事全般
  • 木造以外の建築の総合請負

よくある誤解が、「大工が家を建てられる」と思われがちですが、一棟まるごと請け負うには“建築一式工事業の許可”が必要です。

建築一式工事との違い

同じ“建築に関わる工事”でも、大工工事と建築一式工事は役割がまったく異なります。

① 大工工事=建物の一部分を作る工事

柱・梁・下地など、「建築物の木工部分」を施工する工事です。

② 建築一式=建物全体をまとめる工事

複数工種を取りまとめ、建築物を完成させる総合請負業です。

大工工事はあくまで“部分工事”であり、“まとめ工事”である建築一式とは大きく異なります。

大工工事業に建設業許可が必要なケース

大工工事で以下の条件に該当する場合、建設業許可(大工工事業)が必要です。

  • 工事請負金額が500万円(税込)以上になる場合
  • 元請として規模の大きい工事を行う場合

反対に、請負金額が500万円未満であれば許可なしでも施工できます。

ただし、元請・ハウスメーカーからの受注では「許可業者限定」のケースが多く、許可を取得するメリットは大きいといえます。

専任技術者(専技)に必要な資格

大工工事業の許可取得には、専任技術者が次のいずれかの要件を満たす必要があります。

資格で満たす場合

  • 2級建築施工管理技士(建築)
  • 木造建築士
  • 1級建築施工管理技士

実務経験で満たす場合

大工工事(躯体・造作)に関する実務経験が10年以上。

大工職人が独立するケースでは、「実務経験10年」で許可を取得することが一般的です。

大工工事でよくある誤解

誤解①:大工工事の許可で家を建てられる?

建てられません。建築一式の許可が必要です。

誤解②:造作大工が内装工事も全部できる?

大工工事は木工部分のみ。内装仕上げ工事(クロス・床材)は別業種です。

誤解③:軽量鉄骨(LGS)だけなら許可不要?

金額が500万円以上なら大工工事業の許可が必要です。

大工工事の現場例

  • 木造住宅の構造躯体工事
  • リフォーム時の間取り変更工事
  • 造作家具の施工
  • 天井・壁の下地施工
  • LGS間仕切り工事

大工工事は住宅建築の中核となる工事であり、建物の品質を左右する重要な役割を担っています。

まとめ:住宅建築の基盤をつくる重要工種

大工工事業とは、木材を加工・組み立てて建築物の構造・内装を作る専門工事です。建築一式との違い、許可が必要なケース、専任技術者の資格などを理解することで、事業拡大や許可取得の判断がしやすくなります。

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