建築一式工事とは?──できる工事・専門工事との違い・誤解されやすいポイントをわかりやすく解説

建築一式工事とは

建築一式工事とは、建築物の新築・増改築・改修など、複数の専門工事を総合的に取りまとめて行う工事を指す建設業の主要業種のひとつです。家づくり・マンション建設・店舗新築など、多くの工事の“総合請負”としての役割を持ちます。

本記事では、建築一式工事業でできる工事・できない工事、専門工事との違い、建設業許可の取り方、よくある誤解などをわかりやすく解説します。

建築一式工事とは

建築一式工事とは、建築物を完成させるために必要な複数の工事(基礎・躯体・内装・設備など)を総合的に取りまとめて行う工事のことです。いわゆる「総合建設業」「ゼネコン」のイメージに近いものです。

現場では、多くの専門工事(左官、大工、電気、設備など)が関わるため、建築一式工事には高度な管理能力・工程調整力が求められます。

建築の仕事を一式で請け負う=建築一式工事 この理解が最もシンプルです。

建築一式工事でできる工事

建築一式工事業者が行える主な工事は次のとおりです。

  • 建物の新築・増築工事
  • 集合住宅(アパート・マンション)の建設
  • 商業施設・工場などの建設
  • 内外装リフォーム(総合的なもの)
  • 建物改修・大規模修繕

「規模が大きく、複数の専門工事を総括する工事」が建築一式工事の中心です。

建築一式工事の特徴:専門工事との違い

建築一式工事と、専門工事(大工工事・内装工事等)との違いは次の3点に集約できます。

① 幅広い工事を総合的に管理する

専門工事が“部分工事”を担当するのに対し、建築一式は“全体工事”を統括します。

② 工事規模が大きい

原則として規模が大きく、戸建・建物全体の工事を請け負うケースが中心です。

③ 一式工事には「まとめ工事」の定義がある

建築一式工事では、単一工事であっても、工事の規模が大きい場合は一式工事扱いになります。

たとえば、1,500万円のリフォーム工事を「大工工事」単独で契約するのは適切ではなく、建築一式として請け負う必要があります。

建築一式工事でできない工事

建築一式工事業者であっても、以下はできません。

  • 電気工事・配管工事などの“専門行為”を自社で施工する(許可が必要)
  • 土木工事(→ 土木一式工事業の範囲)
  • 設計業務(建設業とは別制度)

建築一式の許可=「なんでもできる」というわけではありません。 あくまで
“建築物を完成させるための総合請負ができる”という点がポイントです。

建築一式工事業の建設業許可

500万円(税込)以上の建築工事を請け負う場合は、建築一式工事業の許可が必要です。

許可要件

  • 経営業務管理責任者(経管)がいること
  • 専任技術者(専技)がいること
  • 500万円以上の自己資金など、財産的基礎
  • 誠実性(法令遵守)

専任技術者の資格

  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(建築)
  • 建築士(一級・二級)
  • 10年以上の建築工事の実務経験

建築一式工事は建設業の中でも中心的なポジションで、元請として活動したい場合に欠かせない許可です。

建築一式工事に関するよくある誤解

誤解①:建築一式ならどんな工事もできる?

できません。電気工事や配管工事などは専門業種の許可が必要です。

誤解②:大工工事と建築一式は同じ?

大工工事は「木工事」を部分的に担当。一式工事は“まとめ役”で異なります。

誤解③:小規模工事でも建築一式が必要?

500万円未満の工事は建築一式許可が不要ですが、規模・内容によっては一式扱いになることがあります。

建築一式工事の現場例

  • 戸建住宅の新築工事
  • マンション建設
  • 商業施設の建設
  • 学校・病院など公共建築の工事
  • ビルの大規模改修

さまざまな専門職と協力しながら工事全体を管理するため、建築一式工事業者は建設現場の総監督のような役割を担います。

まとめ:建築物を総合的にまとめる“総合工事業”

建築一式工事業とは、建物の新築・改修を総合的に取りまとめる専門業種です。部分工事を担当する専門工事とは異なり、全体管理・工程調整・品質管理が求められます。

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