機械器具設置工事業とは?──できる工事・必要な資格・よくある誤解までわかりやすく解説

機械器具設置工事業とは、工場設備・プラント設備・ポンプ・タンク・コンベアなど、大型の機械器具を据え付ける工事を行う専門業種です。一般住宅にはあまり関係しませんが、製造業・エネルギー施設・上下水道など、社会インフラを支える工事として活躍の場が広い分野です。

本記事では、機械器具設置工事業でできる工事・できない工事・必要な建設業許可・専任技術者の要件・よくある誤解などをわかりやすく解説します。

機械器具設置工事業とは

機械器具設置工事業とは、重量機械・産業機械・公共設備機器などを組み立て、据え付け、調整する工事を行う業種です。建物ではなく、機械そのものを扱う工事であり、高度な専門技術と安全管理が求められます。

工場ライン設備、上下水道施設、浄水場ポンプ、プラント設備、空調機器、太陽光設備など、産業インフラに欠かせない機械を扱います。

機械器具設置工事業でできる工事

次のような機械や設備の設置工事に対応できます。

  • ポンプ・ブロワなどの送排水設備
  • 浄水場・下水処理場の機械設備
  • クレーン・リフトなどの昇降設備
  • コンベヤー・搬送装置
  • ボイラー・圧力容器の据付
  • 工場ライン機器の組立・設置
  • タンク・サイロ・架台設備の設置
  • 太陽光発電(パネル架台や支持装置の設置部分)
  • 空調設備の大型機器(チラー、空冷ヒートポンプユニット等)

建物ではなく「機械そのものを動かすための設置工事」が中心という点が特徴です。

機械器具設置工事業でできない工事

機械器具設置工事業では、次の工事は行えません。

  • 配管工事(→ 管工事業の範囲)
  • 電気配線・電気盤工事(→ 電気工事業が必要)
  • 建築の工事(基礎・躯体は別業種)
  • 製造・修理などのメンテナンス作業(工事ではなく保守業務)

よくある誤解が、「ポンプや機械を置くなら配管もついでにできるのでは?」という点ですが、配管は管工事業の範囲であり、許可区分が異なります。

機械器具設置工事に必要な建設業許可

次の基準を超える工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。

  • 500万円(税込)以上の工事 → 許可必須
  • 500万円未満 → 許可なしでも可能(ただし元請は許可業者を希望しやすい)

機械器具設置工事業の許可取得には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 経営業務管理責任者(経管)が在籍している
  • 専任技術者(専技)が在籍している
  • 財産的基礎(500万円以上の自己資金など)
  • 誠実性(法令違反がない)

特に「専任技術者」の資格要件は重要で、後述します。

専任技術者(専技)に必要な資格

機械器具設置工事業の専任技術者は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。

資格で満たす場合

  • 1級土木施工管理技士
  • 2級土木施工管理技士(機械器具設置)
  • 1級建築施工管理技士
  • 2級建築施工管理技士(機械器具設置)
  • 技術士(機械部門など)

実務経験で満たす場合

機械器具設置工事に関する実務経験が10年以上。

施工管理技士の「機械器具設置」区分は比較的新しいため、実務経験で申請する企業も多いのが特徴です。

機械器具設置工事はどんな現場で活躍する?

工場や公共施設など、次のような案件で活躍します。

  • 浄水場・下水処理場
  • 工場ラインの設備更新工事
  • 大型ボイラー・チラー設備の設置
  • 食品工場・製薬工場の装置設置
  • 産業用ロボットの設置
  • 太陽光発電システムの支持架台

産業・インフラ分野で欠かせない工種であり、専門性の高さから元請・下請の幅が広い業種です。

よくある誤解と注意点

誤解①:電気工事や配管工事もまとめてできる?

できません。配線は電気工事、配管は管工事の許可が必要です。

誤解②:機械器具設置=大型機械だけ?

重量物だけでなく、中型・軽量設備も範囲に含まれます。

誤解③:産業機械の修理もできる?

修理・メンテナンスは工事ではないため、建設業許可の対象外です。

まとめ:産業・インフラを支える高度専門工種

機械器具設置工事業は、工場設備や公共インフラ設備を扱う専門性の高い業種です。機械の据付・調整に加え、安全管理や施工計画が求められ、産業現場の幅広いニーズに応えられる工種です。

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