清掃施設工事業とは、ごみ焼却施設、リサイクルセンター、粗大ごみ処理施設、汚泥再生処理施設など、廃棄物処理に関わる施設を建設・改修する工事を担当する専門業種です。都市ごみや産業廃棄物を安全かつ効率よく処理し、環境を保全するために欠かせない重要工種です。
人口集中や環境問題の深刻化に伴い、清掃施設の高度化・再整備が進んでおり、今後の社会においてますます必要性が高まる分野です。
清掃施設工事が担当する主な工事
清掃施設には多くの種類があり、それぞれ異なる処理システムを持っています。
① ごみ焼却施設(焼却炉工事)
- ストーカー炉・流動床炉などの設備設置
- 排ガス処理設備・灰処理設備の施工
- 発電設備(ごみ発電)の導入
② リサイクル施設(資源化工場)
- 選別ライン・破砕機・圧縮機の設置
- ペットボトル・金属・紙類の資源化設備
③ 最終処分場関連工事
- 浸出水処理設備
- 遮水シート・覆土システムの施工
④ 下水汚泥再生処理施設
- 脱水設備・乾燥設備
- バイオマス利用設備(メタン発酵装置)
清掃施設工事は「設備」「機械」「構造」のすべてが関係する複合型の工種です。
清掃施設工事の工程(流れ)
多種多様な設備が集まるため、設計段階から完成まで高度な総合管理が必要です。
① 基本設計・設備計画
処理方式、能力、環境基準に基づき、施設全体の仕組みを計画します。
② 土木・建築工事
建物の基礎工事、躯体工事、設備機器の設置空間を施工します。
③ 機械設備工事
焼却炉、破砕機、選別機、乾燥機、配管・ダクトなどを組み立てます。
④ 電気・制御設備工事
監視制御システム、電気配線、計装工事など高度な設備施工が行われます。
⑤ 試運転・調整
設備全体を動かし、処理能力・安全性・環境基準を満たすことを確認します。
複数の専門工種が関わるため、高度なプロジェクト管理が求められる工程です。
建設業における「清掃施設工事業」の位置づけ
清掃施設工事業は、循環型社会の実現に欠かせない“環境インフラ工事”として極めて重要な役割を果たします。
- 環境保全:廃棄物の適正処理・大気汚染防止・水質保全
- 資源循環:リサイクル施設の整備による再資源化の促進
- エネルギー利用:ごみ発電・バイオマスなどの再生エネルギー活用
国の環境政策とも連動する社会性の高い工種です。
必要な資格と専門性
- 施工管理技士(建築・土木・管・電気)
- 機械器具設置工事業の知識(隣接分野)
- 計装士・電気工事士
- ボイラー技士(焼却施設)
建築・土木・電気・機械設備を総合的に理解する力が必要で、複合型の専門性が求められます。
よくある誤解:「ごみ焼却場をつくるだけ」ではない
実際には、清掃施設工事は多種多様な設備と技術が集約された総合工事です。
- 環境基準を満たすための高度な排ガス処理設備
- 大量処理に耐える機械設備の設置
- 制御システムの構築
- 地域環境に配慮した設計・施工
まとめ:循環型社会を支える“環境インフラのプロフェッショナル”
清掃施設工事業は、廃棄物処理施設・リサイクル施設・汚泥再生施設などを建設し、環境保全と資源循環を支える重要な専門工事です。機械・電気・建築・土木の総合力が求められ、地域社会の持続可能性に大きく貢献します。
環境問題の深刻化に伴い、今後ますます需要が拡大する成長分野といえるでしょう。

