鋼構造物工事業とは、鋼材(鉄骨・鋼板・鋼管など)を加工・組立・設置し、建物や橋梁、タンク、鉄塔などの骨組みをつくる工事を担当する専門業種です。強度・耐久性に優れた鋼材を扱い、大規模構造物の建設に欠かせない“構造の中核”を担っています。
建築や土木の基礎となる工事であり、安全性・精度・重量物の取り扱いなど高い専門技術が求められます。
鋼構造物工事業が担当する主な工事
鋼構造物工事は、建築・土木の双方で多岐にわたる現場に対応します。
① 建築鉄骨工事
- ビル・工場・倉庫・商業施設などの鉄骨組立
- 柱・梁・トラスなど構造フレームの建方
- ボルト締め・溶接による接合
② 橋梁・歩道橋の鋼構造物工事
- 橋梁部材の製作・架設
- 高所作業や大型クレーンを用いた施工
③ タンク・サイロ・煙突など大型設備工事
- 産業用タンク・石油タンクの製作・設置
- サイロ・煙突・鉄塔など鋼製設備の組立
④ フェンス・門扉・防護柵などの鋼製構造物
- 道路・施設の安全設備工事
- 鋼製階段・手すり・架台などの製作と設置
建築からインフラ設備まで、非常に幅広い鋼構造物を扱います。
鋼構造物工事の工程(流れ)
鋼材は工場加工と現場施工に分かれ、綿密な管理のもとで進められます。
① 製作図の作成・鋼材加工
工場で鋼材を切断・孔あけ・溶接し、建物に合わせた部材を製作します。
② 現場搬入・仮置き
大型トラックで搬入し、安全に組立できるよう配置します。
③ 建方(鉄骨の組立)
クレーンで吊り上げながら柱・梁を組立て、ボルト・溶接で固定します。
④ 本締め・溶接
高力ボルトの本締めや溶接を行い、構造体を完全に固定します。
⑤ 精度確認・仕上げ
垂直・水平・寸法を測定し、精度が基準を満たしているかチェックします。
鋼構造物工事は重量物・高所作業が多いため、安全管理が最重要事項です。
建設業における「鋼構造物工事業」の位置づけ
鋼構造物工事業は、建築・土木の基盤をつくる極めて重要な工種で、次のような役割を果たします。
- 建物の骨組み形成:強度・耐震性を決定
- 大型構造物の施工:橋梁・鉄塔・タンクなどインフラを支える
- 工場生産×現場施工:高精度なモノづくりと現場対応力が必要
都市開発・物流施設の増加により、今後も高い需要が見込まれる工種です。
必要な資格と専門性
- 鉄骨製作管理技術者
- 建築鉄骨検査技術者
- 溶接技能者(アーク溶接・半自動溶接など)
- 建築施工管理技士・土木施工管理技士
- クレーン運転士・玉掛け技能者
鋼材の取り扱い、安全管理、構造理解など専門知識が求められます。
よくある誤解:「鉄骨を組むだけ」ではない
鋼構造物工事は高度な精度と安全管理が求められる専門工事です。
- 加工精度が建物の安全性に直結
- 現場ではミリ単位での調整が必要
- 高所作業・重量物作業に伴う高度な安全技術
- 設計図の読み取り・構造理解が重要
まとめ:建築・インフラを支える“鉄骨のスペシャリスト”
鋼構造物工事業は、鉄骨建築や橋梁、タンク、鉄塔などの鋼構造物を製作・組立・設置する専門工事です。建物やインフラの安全性・耐久性を支える重要な役割を担っています。
精度の高い技術と安全管理が求められるため、今後も需要が安定し続ける成長分野です。

