電気工事業とは?──建物の“電気のすべて”をつくるインフラ専門職

電気工事業とは、建物内外の電気設備(照明・コンセント・分電盤・配線・弱電設備など)を設計・施工する工事を担当する専門業種です。住宅・マンション・オフィス・商業施設・工場・公共施設など、あらゆる建築物に欠かせない“生活インフラをつくる職種”といえます。

電気が正しく供給されなければ、照明・エアコン・インターネット・防災設備・機械設備などが機能しません。現代社会で最も重要なインフラ工事の一つであり、高い技術力・安全性・法令遵守が求められます。

電気工事業が担当する主な工事

電気工事は非常に幅広く、専門性の高い分野が多数あります。

① 建築電気設備工事

  • 照明器具の取り付け
  • コンセント・スイッチの設置
  • 分電盤・ブレーカーの設置
  • 屋内外の配線工事
  • アース工事

② 高圧受変電設備工事

  • キュービクル(高圧受電設備)の設置
  • 工場・大型施設の電力インフラ構築

③ 弱電設備工事(通信・ネットワーク)

  • インターネット・LAN工事
  • TVアンテナ・防犯カメラ
  • 自火報(自動火災報知設備)
  • インターホン・放送設備

④ 外構・屋外電気工事

  • 駐車場照明・街路灯
  • 誘導灯・看板照明

⑤ 太陽光発電・EV充電設備工事

  • 太陽光パネルの設置・接続
  • 電気自動車(EV)充電スタンドの施工

住宅から産業施設まで幅広く対応する、建設業の中でも特に専門性の高い工種です。

電気工事の工程(流れ)

電気工事は安全第一で進める必要があり、施工手順も厳しく定められています。

① 配線計画・図面確認

建物の用途・電力容量・設備配置を考慮し、配線ルートや機器配置を計画します。

② 配線工事

天井・壁・床の内部に電線を配線し、専用ボックスに結線します。

③ 器具取り付け

照明器具、コンセント、スイッチ、分電盤などを取り付けます。

④ 結線・試験・通電確認

漏電チェック・絶縁抵抗測定・電圧確認などを行い、安全を確保します。

⑤ 仕上げ・引き渡し

室内の仕上げに合わせて器具位置を調整し、動作確認後に引き渡します。

建設業における「電気工事業」の位置づけ

電気工事業は、建物の機能性・安全性・快適性を支える“生命線”のような存在です。

  • 安全性の確保:感電・漏電・火災などを防止
  • 快適性の向上:照明・空調・通信・設備の動作確保
  • 省エネ・環境対応:LED化、太陽光、EV充電、スマート設備

現代建築において、電気工事を必要としない建物はありません。

必要な資格と専門性

電気工事は法律により有資格者が施工することが義務付けられています。

  • 第一種電気工事士(大型施設・高圧設備を扱える)
  • 第二種電気工事士(住宅・一般建築物を扱う基本資格)
  • 電気工事施工管理技士(1級・2級)
  • 工事担任者(通信系)
  • 高所作業車技能講習

特に電気工事士は国家資格であり、現場の必須資格として高い価値があります。

よくある誤解:「電気工は危ないだけ?」ではない

電気工事は「危険な作業」というイメージだけが先行しがちですが、実際には高度な知識と技術を持つ専門職です。

  • 電気理論・電圧・電流・回路設計の知識
  • 建築図面・設備図面の読解力
  • 省エネ設備・スマート家電との連携
  • 安全施工の徹底

近年はDX化・IoT化の進展により、電気工の役割はさらに広がっています。

まとめ:現代建築の“心臓”をつくる重要工事

電気工事業は、建物に電気を安全かつ確実に供給するための重要な専門工事です。照明・空調・通信・インターネット・防災設備など、現代生活に欠かせない機能を支えています。

技術革新が進む分野であり、今後も需要が高い安定した職業といえるでしょう。