防水工事業とは、建物の屋上・バルコニー・外壁・地下構造物などに防水層を施工し、雨水の侵入を防ぐ工事を担当する専門業種です。防水が正しく施工されていないと、室内への雨漏り、鉄筋の腐食、カビ、構造材の劣化など深刻な問題につながるため、建物の長寿命化に欠かせない重要工事です。
新築はもちろん、マンション大規模修繕や戸建てリフォーム、工場・倉庫の屋根防水など幅広い現場で行われます。気候変動による豪雨の増加もあり、防水工事の重要性は年々高まっています。
防水工事業が担当する主な工事
防水工事には大きく分けて「塗膜防水・シート防水・アスファルト防水・注入防水」などの種類があり、建物の状況や用途に応じて使い分けます。
① ウレタン塗膜防水
- 液状ウレタンを重ね塗りし、防水膜を形成
- 屋上・バルコニーで最も採用される工法
- 複雑な形状の施工に適している
② シート防水(塩ビ・ゴム)
- 耐久性に優れ、施工スピードが速い
- 商業施設・マンションなどの屋上で多用
③ アスファルト防水
- 歴史のある最も強固な防水工法
- 高層ビルや大規模建築物で採用
④ 外壁防水・シーリング工事
- 外壁の目地やサッシ周りの隙間をシーリング材で防水
- 外壁塗装とセットで行われることが多い
⑤ 注入防水・止水工法
- 地下やコンクリートの亀裂に樹脂を注入して漏水を防ぐ
これらの工法を適切に選ぶには、建物の構造・劣化状況・環境条件の正確な判断が求められます。
防水工事の工程(流れ)
防水工事は「下地補修 → プライマー塗布 → 防水層施工 → トップコート仕上げ」という流れで進みます。
① 下地補修・清掃
ひび割れ補修、段差調整、汚れ除去などを行い、防水層の密着性を高めます。
② プライマー塗布
接着力を高める下塗り材を施工します。
③ 防水層の施工
ウレタン塗膜・シート貼りなど、選択した工法を施工します。
④ トップコート仕上げ
紫外線から防水層を守る保護塗料を塗布します。
防水工事は“見えなくなる工事”であるため、丁寧な施工と品質管理が非常に重要です。
建設業における「防水工事業」の位置づけ
防水工事業は、建築仕上げ工事の中でも最も機能性が重視される工種です。
- 建物保護の要:雨漏り・腐食・カビを防ぐ
- 建物の寿命を大きく延ばす:劣化対策の中心工事
- 定期メンテナンスが必須:10〜15年周期で更新
気候条件が厳しい日本では、防水工事の重要性は非常に高く、需要が安定しています。
必要な資格と専門性
- 防水施工技能士(シート・ウレタン・アスファルト)
- シーリング技能士
- 建築施工管理技士(仕上げ)
- 有機溶剤作業主任者
- 高所作業車技能講習
防水は材料の扱い方、気象条件の判断、乾燥時間の管理など専門性が非常に高いため、資格は品質保証に大きく関与します。
よくある誤解:「防水=塗るだけ」ではない
実際には、防水は「建物の寿命を左右する構造的な工事」です。
- ひび割れ補修や下地調整が品質の要
- 工法選択に専門的な判断が必要
- 外壁・屋根・地下など場所ごとに施工が異なる
- 施工不良が重大な雨漏りを引き起こす
まとめ:建物を長く使い続けるための“守りの工事”
防水工事業は、雨水の侵入を防ぎ建物を劣化から守る重要な専門工事です。適切な工法選択と丁寧な施工によって、建物の寿命や安全性が大きく向上します。
マンション・住宅・商業施設・公共建築など幅広い現場で必要とされ、今後も需要が高まる工種です。

