塗装工事業とは、建物の外壁・屋根・内装・鉄部などに塗料を塗り、保護・防水・防錆・美観向上を行う工事を担当する専門業種です。塗装は建物の寿命を左右する重要工事であり、見た目を整える“仕上げ”であると同時に、風雨や紫外線から構造物を守る“防護工事”として欠かせません。
住宅リフォーム、マンション大規模修繕、工場の防錆塗装、公共施設の維持など幅広い場面で実施され、建物保全の要となる工種です。
塗装工事業が担当する主な工事
塗装工事は建物のあらゆる部位で必要とされ、多彩な施工種類があります。
- 外壁塗装:防水性・耐候性向上、外観リニューアル
- 屋根塗装:遮熱塗料・断熱塗料による性能改善
- 鉄部塗装:サビを防ぐ防錆塗装
- 木部塗装:保護塗装・着色仕上げ
- 内装塗装:壁・天井の仕上げ
- 橋梁・鉄骨の塗装:公共インフラの防錆保護
建物の状態や環境によって塗料や施工方法を選ぶ必要があり、専門的な目利きが求められます。
塗装工事の工程(流れ)
塗装工事は「下地処理 → 養生 → 塗り → 仕上げ」という流れで進みますが、実際には下処理が最も重要です。
① 下地処理
高圧洗浄、ケレン作業(サビ落とし)、ひび割れ補修など、塗料が密着する状態を整えます。
② 養生
塗らない部分をシートやテープで保護します。
③ 塗装(下塗り → 中塗り → 上塗り)
耐久性や美観を保つため、複数回に分けて丁寧に塗り重ねます。
④ 仕上げ・点検
塗膜のムラや剥がれがないか最終確認し、必要に応じて補修します。
塗装の品質は“下地処理”と“塗り重ね”で決まり、手間と技術が求められる工種です。
建設業における「塗装工事業」の位置づけ
塗装工事業は、建築仕上げ工事の中でも最も需要が高く、定期的に実施されるメンテナンス工事として重要視されています。
- 建物保護:防水・防錆・紫外線対策
- 景観維持:建物の外観を美しく保つ
- 断熱・遮熱性能の向上:省エネ対策にも寄与
外壁は10〜15年、屋根は7〜10年ごとに塗替えが必要であり、継続的な需要があります。
必要な資格と専門性
- 塗装技能士(1級・2級)
- 建築施工管理技士(仕上げ)
- 有機溶剤作業主任者
- 足場の組立て等作業主任者
- 高所作業車技能講習
塗料の選定、下地の判断、安全管理など総合力が必要となるため、資格者の存在が施工品質に直結します。
よくある誤解:「塗装=色を塗るだけ」ではない
実際には、建物の長寿命化に欠かせない“保護工事”の側面が大きい工種です。
- 下地補修で耐久性が決まる
- 適切な塗料選びで建物性能が向上
- 塗膜の厚み・乾燥時間の管理が必要
- 外装のリニューアルで資産価値UP
まとめ:建物の寿命と美観を守る重要工事
塗装工事業は、建物を保護し、外観を美しく保つために欠かせない専門工事です。防水性・防錆性・耐久性を高める塗装の役割は非常に大きく、住宅・ビル・工場・橋梁など幅広い現場で活躍します。
定期的な需要があるため安定した工種であり、今後も重要性が高まり続ける分野です。

