板金工事業とは、建物の屋根・外壁・雨樋(あまどい)などに金属板を加工して施工する工事を担当する専門業種です。金属板を切断・曲げ・折り曲げなどで成形し、建物を雨・風・雪から守る外装をつくり上げます。
近年はガルバリウム鋼板をはじめとした高耐久金属が普及し、住宅から商業施設、工場まで幅広い建築物で板金工事が採用されています。デザイン性・軽量性・耐久性の高さから、現代建築ではますます重要性が高まっている工種です。
板金工事業が担当する主な工事
板金工は金属を自由自在に加工して外装をつくる、建設業でも屈指の“ものづくり職”です。主な工事内容は以下の通りです。
- 屋根工事:金属屋根の施工(立平葺き・瓦棒葺き・折板屋根など)
- 外壁工事:金属サイディング・角波板・スパンドレルの施工
- 雨樋工事:雨水を排水するための樋の設置
- 水切り・役物の施工:建物を雨水から守る部材の取り付け
- 屋根の納まり加工:棟・ケラバ・軒先などの細部成形
- 金属パネルの加工・取り付け
板金工事は「見えない部分ほど難しい」と言われ、細部の納まりが建物の耐久性を大きく左右します。
板金工事の工程(流れ)
板金工事は、図面と寸法取りを基に金属板を加工し、現場で組み立てていく工程です。
① 現場調査・寸法取り
建物の形状、雨仕舞(あまじまい)、納まりを確認し、精密な採寸を行います。
② 加工(成形)
工場または現場で、切断・折り曲げ・曲げ加工などを行い、部材を製作します。
③ 施工(取り付け)
屋根・外壁・雨樋などに部材を固定し、雨漏りしないよう丁寧に施工します。
④ 仕上げ・点検
棟部分や役物の納まりを整え、全体の防水性・強度・美観を確認します。
建設業における「板金工事業」の位置づけ
板金工事業は、建築の仕上げ工事の一分野であり、特に「外装仕上げ」の中心を担います。
- 建物を風雨から守る機能性
- 外観デザインを大きく左右する意匠性
- 軽量金属を扱うため構造負荷が少ない
外壁・屋根・雨樋と関わるため、外装全体の知識と総合的な納まり設計が求められる工種です。
必要な資格と専門性
板金工事業では、金属加工・施工技術・安全作業に関わる資格が重要です。
- 建築板金技能士(1級・2級)
- 屋根外装調査士
- 建築施工管理技士(1級・2級)
- 高所作業車技能講習
- 玉掛け技能講習
板金技能士は、金属加工技術の高さを証明する国家資格として特に評価されます。
よくある誤解:「板金=トタン屋根だけ」ではない
伝統的なイメージでは“トタン屋根”が一般的ですが、現代の板金工事は大きく進化しています。
- ガルバリウム鋼板による高耐久外装
- スタイリッシュな金属サイディング
- 防水性に優れた立平葺き屋根
- 金属パネル建築による意匠性の向上
住宅から店舗・工場まで幅広く採用され、外装デザインの選択肢も大きく広がっています。
まとめ:外装の品質と建物の耐久性を守る重要工事
板金工事業は、屋根・外壁・雨樋など建物の外装を金属加工によって仕上げる重要な工種です。精密な採寸、加工技術、防水性を確保する施工力が求められ、建物の寿命と美観を大きく左右します。
外装リフォームや新築でも需要が高く、今後も建設業の中で欠かせない専門職として活躍が期待されます。

