とび・土工・コンクリート工事業とは、建設現場で必要とされる基礎的・補助的・専門的な作業を幅広く担当する工種で、「建設現場の何でも屋」とも言える存在です。足場の組立て、土工事、コンクリート工事、重機作業の補助など、建設工事の最前線で欠かせない役割を担っています。
この業種は、建設工事の初期段階から最終段階まで深く関わり、建物の基礎づくりや安全確保、工事の効率化に大きく貢献します。土木・建築どちらにも属するため、業務範囲が広いのが大きな特徴です。
とび工とは?──高所・足場のスペシャリスト
「とび」は、建設現場で足場の組立て、鉄骨の建方、重量物の揚重(クレーン作業の補助)など、高所での専門作業を行う職人を指します。建物の骨組みを組む際にはとび職人の技術が不可欠です。
とび工の主な仕事
- 足場の組立て・解体(安全な作業空間を確保)
- 鉄骨の建方(ビル骨組みの立ち上げ)
- 重量物の揚重作業(クレーン作業の誘導や玉掛け)
- 仮設構台・支保工の設置
特に足場工事は建設現場の安全性を左右するため、とび工は建設現場の「守護神」とも言える存在です。
土工とは?──土地を整え基礎を支えるプロフェッショナル
「土工」は、建設現場で土砂の掘削、埋戻し、整地など土地を扱う仕事を担当します。土木工事はもちろん、建築現場でも基礎工事に必須となる職種です。
土工の主な仕事
- 掘削・埋戻し・整地(建物の基礎づくり)
- 重機作業の補助(バックホウ・ブルドーザーなど)
- 地盤改良の補助業務
- 仮設工事の手元作業
特に造成工事では土工仕事が中心となり、建物の安全性を左右する重要な工程を担います。
コンクリート工とは?──建物の“体をつくる”専門家
「コンクリート工」は、型枠に生コンクリートを打設し、建物の基礎・床・壁などの構造体をつくる工種です。鉄筋と合わせて建物の強度・耐震性を決める重要な工程です。
コンクリート工の主な仕事
- 生コンクリートの打設
- バイブレーターによる締固め
- レベリング・仕上げ
- 養生・品質管理
打設から硬化までの品質管理は建物の耐久性に直結するため、専門知識と高度な技能が求められます。
建物工程の中での「とび・土工・コンクリート工」の役割
この業種は建物ができる全工程に関わりますが、特に重要なのは以下の3段階です。
STEP1:土工による造成・基礎準備
掘削・盛土・整地・埋戻しなど、土地を整える作業を担当します。
STEP2:とび工による足場・建方
建設現場の安全確保と骨組みの組立てを支える重要工程です。
STEP3:コンクリート工による打設・構造体形成
建物の基礎・壁・床などの強度を決める最重要作業です。
これらが互いに密接に連携し合うことで、高品質で安全な建築物が完成します。
必要な資格と専門性
とび・土工・コンクリート工事業には、技能資格と施工管理資格の両方が関わります。
- 1級・2級とび技能士
- 玉掛け技能講習
- 足場の組立て等作業主任者
- 車両系建設機械(土工用、基礎工事用など)
- 1級・2級土木施工管理技士
- コンクリート技士・コンクリート主任技士
現場作業から現場監督まで幅広いキャリアステップがあるのも特徴です。
よくある誤解:「とび土工は単純労働」ではない
「とび土工はきつい・汚い・危険」というイメージを持たれがちですが、実際には高度な技能と判断力が求められる専門職です。
- 足場組立ては建設現場の安全を左右する高度技能
- 玉掛け・揚重はミスが許されない精密作業
- コンクリート打設は品質を左右する高い専門性が必要
近年はICT機器の導入が進み、技能のデジタル化・省力化も進んでいます。
まとめ:現場を支える“縁の下の力持ち”
とび・土工・コンクリート工事業は、建設現場のあらゆる工程に関わる幅広い専門工種であり、建築・土木どちらの現場でも欠かせない存在です。基礎作り、高所作業、構造体形成といった重要な役割を担い、建設業全体の品質と安全性を支えています。
現場の要として、多能工スキルを持つ職人が評価される時代へと変化しており、今後も高い需要が見込まれる業種です。


