建設業許可の申請時には、代表者・役員などが暴力団と関係がないことを証明するため、「暴力団排除の誓約書」の提出が必須となっています。 これは単なる形式書類ではなく、欠格要件に深く関わる非常に重要な資料です。
暴力団排除の誓約書に虚偽があれば、許可は即座に不許可となり、場合によっては許可取消につながる重大なリスクがあります。
本記事では、暴力団排除の誓約書とは何か、なぜ必要なのか、提出時の注意点、自治体がどのようにチェックしているのか、誓約書に関わるよくある誤解などを詳しく解説します。
暴力団排除の誓約書とは?
暴力団排除の誓約書とは、事業者およびその役員が暴力団と一切関係がないことを宣誓する書類です。
すべての自治体で建設業許可申請の必須書類とされており、次の内容を誓約します。
- 暴力団員ではないこと
- 暴力団員と社会的に非難される関係にないこと
- 暴力団関係者を会社の経営に関与させていないこと
- 暴力団への利益供与を行っていないこと
暴力団排除条例に基づき、事業者の社会的信用を保つための重要な書類です。
なぜ誓約書が必要なのか?(建設業界が特に厳しい理由)
建設業界は契約金額が大きく、公共工事も多いため、反社会勢力の介入を強く排除する必要があります。
そのため、建設業許可では特に以下の点が重視されます。
- 公共工事の安全性確保
- 反社会勢力による資金獲得を防ぐ
- 不正取引の抑止
誓約書は、この対策の第一歩となる書類です。
誰が誓約書を提出する必要があるのか?
以下のすべての関係者について誓約書の提出が必要です。
① 代表取締役
② 取締役・役員全員
③ 個人事業主(個人申請の場合)
④ 法人の使用人で重要な地位にある者(支店長など)
提出者が多く、集めるのに時間がかかるため、申請準備の初期に取り掛かる必要があります。
自治体は誓約書をどのようにチェックしているのか?
誓約書の内容は、自治体が公安委員会や警察と情報照会を行い、実際に反社会勢力との関わりがないか確認されます。
チェック項目
- 名前・住所・生年月日の照合
- 過去の暴力団データベースとの一致確認
- 取引関係から疑義がないか
書類の提出だけで終わるものではなく、正式な調査の対象となります。
誓約書でよくある誤解
① 「家族に問題があると許可は下りない?」
誓約の対象は本人であり、家族ではありません。
② 「仕事上の取引先が暴力団関係だとどうなる?」
継続的な利益供与があれば問題視されます。
③ 「誓約書は形式だけで実質的な審査はない?」
実際には警察等との照会で厳格にチェックされます。
④ 「軽微なトラブル歴でも拒否される?」
暴力団関係でなければ問題ありません。
誓約書の記入で注意すべきポイント
① 氏名・住所・生年月日の正確な記載
照会のため一致している必要があります。
② 押印・署名の漏れがないか確認
不備があると差し戻しになります。
③ 会社の印鑑ではなく、個人の署名が必要
代表者だけでなく役員全員が個別に署名します。
④ 書式は自治体のものを使用
独自書式は不可。
暴力団排除の誓約書に関する差し戻し事例
- 誓約書の署名が本人ではない
- 住所が住民票と一致しない
- 提出者のリストに漏れがある(役員1名が抜けている)
- 消えかかった印字や内容の不鮮明な書類
誓約書は「誠実性」の象徴であり、不備は厳しく扱われます。
もし過去に反社会勢力と関わりがあった場合の対処
すでに関係が断絶されている場合は、自治体に相談することで許可が取得できるケースもあります。
対応方法
- 関係解消を証明する資料を提出
- 申請前に自治体へ事前相談
- 顧問弁護士の意見書を添付
過去の関係が「現在進行形」でなければ、判断が変わる可能性があります。
まとめ:暴力団排除の誓約書は許可審査の重要項目
暴力団排除の誓約書は、建設業許可の誠実性審査で最重要の書類です。 形式的な書類ではなく、警察との照会も行われるため、正確に記載し、全員分を揃える必要があります。
ポイントは以下の通りです。
- 提出者は会社の全役員(個人事業主は本人)
- 自治体の指定書式で記入する
- 本人署名が必須
- 誤記・記載漏れは差し戻し
誓約書を正しく提出することは、許可取得に欠かせない重要な手続きです。


