決算書で証明する方法──自己資本で建設業許可の財産要件を満たすための完全ガイド

決算書で証明する方法

建設業許可の財産要件を満たす方法のひとつに、決算書で自己資本が500万円以上あることを証明する方法があります。 預金残高や融資枠を使わず、決算書のみでクリアできるため、黒字企業にはもっともスムーズな手続きです。

本記事では、決算書による証明方法、自治体がチェックするポイント、自己資本の計算方法、注意点、不足している場合の対策などを実務レベルで詳しく解説します。

決算書で財産要件を満たすには?

建設業許可の財産要件は、次の基準のどれかを満たせばOKです。

  • ① 預金残高が500万円以上
  • ② 融資枠が500万円以上
  • ③ 決算書の自己資本が500万円以上

③の方法は、企業の財務内容をもっとも正確に反映するため、審査がスムーズで信頼度も高い方法です。

自己資本とは?(建設業許可で重視される指標)

自己資本とは、会社が自由に使える純粋な資産のこと。 財務諸表の貸借対照表に記載されている純資産の部分です。

自己資本の内訳

  • 資本金
  • 資本剰余金
  • 利益剰余金
  • その他の純資産

この合計額が500万円以上であれば、財産要件を満たします。

決算書で証明するために必要な書類

決算書で証明する場合、次の書類を提出します。

  • 貸借対照表(BS)
  • 損益計算書(PL)
  • 勘定科目内訳明細書
  • 場合により 株主資本等変動計算書

特に重要なのが貸借対照表です。ここに記載されている純資産額が基準になります。

自治体がチェックするポイント(審査基準)

自治体は決算書を次の観点で審査します。

① 純資産が500万円以上か?

ここが最重要項目です。

② 債務超過ではないか?

純資産がマイナスの場合は財産要件を満たせません。

③ 利益剰余金に矛盾がないか?

利益の積み上げが正しいかチェックされます。

④ 資産に不自然な項目がないか?

架空資産や回収不能な売掛金などが疑われると追加資料が求められます。

⑤ 税務申告済みか?

税務署の受付印(電子申告は受信通知)が必要です。

黒字企業が決算書で証明するメリット

  • 追加の証明書(残高証明・融資枠)が不要
  • 最も信頼度が高く審査がスムーズ
  • 毎年の更新や決算変更届の整合性が取りやすい
  • 融資枠の設定など余計な金融手続きが不要

健全な財務状態であれば、最短・最安で許可取得ができます。

自己資本が500万円に満たない場合の原因と対策

原因① 赤字決算が続いている

利益剰余金が減り、純資産が積み上がらない状態。

対策

  • 黒字化を進め、次期決算で改善
  • 資本金の増資で純資産を増やす

原因② 役員貸付金が過剰

役員が会社から借りすぎている状態。純資産が圧迫されます。

対策

  • 役員が返済し、資金を戻す
  • 貸付金の圧縮を税理士と相談

原因③ 未回収の売掛金が多い

回収不能が疑われると審査が厳しくなります。

対策

  • 取引先と回収計画を整理
  • 補足資料を提出

原因④ 固定資産の評価が適正でない

実態と合わない資産計上は否認対象に。

決算書で証明する際の注意点

  • 税務申告済みの決算書であること
  • 純資産の額が明確であること
  • 勘定科目内訳明細書が揃っていること
  • 直近決算を提出すること

申請時期によっては「前期決算」と「今期の試算表」を併せて提出する場合があります。

申請直前で純資産が不足している場合の最速解決策

① 増資(資本金の増額)

代表者・親族からの出資で純資産を増やせます。

② 役員貸付金の返済

純資産が改善しやすい方法。

③ 次期決算まで待って黒字化

時間はかかるが確実。

④ 残高証明や融資枠での証明に切り替える

最も現実的な代替手段。

決算書は毎年提出する必要がある(許可維持のために重要)

建設業許可を維持するためには、毎年「決算変更届」の提出が義務です。 決算書で財産要件を通した企業は、毎期の純資産が重要になります。

赤字続きで純資産が減少すると、更新時に注意が必要です。

まとめ:黒字企業は決算書での証明が最もスムーズ

決算書を使った証明方法は、もっとも正確かつ審査がスムーズな方法です。

ポイントは以下の通りです。

  • 自己資本500万円以上で財産要件クリア
  • 貸借対照表の純資産をチェック
  • 申告済みで整合性がとれていることが必須
  • 純資産が不足する場合は決算改善か別方法で対応

黒字企業は決算書での証明が最短の許可取得ルートになります。

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