建設業許可で求められる「500万円証明」は、預金残高が500万円以上ある場合がもっとも一般的ですが、残高が不足している事業者でも許可取得は可能です。その際に活用できるのが“融資枠による証明(極度額証明)”です。
本記事では、融資枠で財産要件を満たす方法、必要書類、金融機関への依頼手順、審査で否認されやすいポイント、銀行が発行に応じないケースの対処法まで、実務に役立つ情報を徹底解説します。
融資枠での証明とは?
融資枠を使った証明とは、銀行が設定した「500万円以上の極度額(融資枠)」を建設業許可の財産要件として利用する方法です。
つまり、実際に借りていなくても、「いざという時に500万円以上借りられる」という信用力を証明することで、許可要件を満たせます。
融資枠証明の特徴
- 預金残高が500万円未満でもOK
- 資金繰りに余裕がなくても許可申請が可能
- 金融機関の信用が伴うため審査で有利に働く
銀行が発行する“極度額証明書”が正式な証明書類となります。
融資枠で証明するために必要な書類
融資枠を証明するためには、銀行が発行する次の書類が必要です。
① 極度額証明書(融資証明書)
見本のような内容が記載されます。
- 極度額(例:1,000万円)
- 借入の種類(当座貸越・証書貸付など)
- 利用可能期間
- 証明日
- 銀行名・支店名の記載
この証明書で「500万円以上の融資枠がある」ことが示されれば要件をクリアできます。
② 金融機関からの契約書(必要に応じて)
契約内容の裏付けとして求められることがあります。
融資枠証明の取得手順(実務フロー)
ステップ1:取引銀行に相談する
- 担当者に「建設業許可の500万円証明で極度額証明が必要」と伝える
- 証明書発行の可否を確認する
※銀行によって取扱いが異なるため、最初に確認が必要です。
ステップ2:必要書類を提出する
銀行から次の書類の提出を求められることがあります。
- 決算書(直近2〜3期)
- 会社概要書
- 代表者の信用情報
既に融資枠がある場合は省略されることが多いです。
ステップ3:証明書を発行してもらう
発行までの目安は、当日〜1週間程度です。銀行によっては審査が必要になるため、時間に余裕を持って依頼しましょう。
融資枠で証明する際の注意点
① 利用可能額ではなく「極度額」で判断される
例)極度額1,000万円 → 借入残高が500万円あってもOK
② 未契約の場合は新規に枠を設定する必要があり審査が必要
特に新設法人(設立後まもない企業)は審査が厳しくなる場合があります。
③ 信用保証協会付きの融資枠でも証明に利用できる
むしろ信用力が高く評価されることもあります。
④ 過去に延滞履歴があると枠が通りにくい
銀行は信用情報を厳しくチェックします。
融資枠を使うメリットとデメリット
■ メリット
- 預金残高が少なくても許可取得が可能
- 資金を動かさなくても証明できる
- 銀行からの信用が裏付けされる
■ デメリット
- 銀行で枠の審査が必要
- 証明書発行に時間がかかる場合がある
- 新設法人は融資枠が通りにくい
融資枠が取れない場合の代替案
銀行の審査が通らない場合でも次の方法があります。
① 預金で証明する(残高証明)
もっとも確実な方法。
② 親族・経営者からの増資
自己資本を増やすことで要件を満たす。
③ 決算を見直し黒字化して次年度で申請
銀行の評価が改善され融資枠が取りやすくなる。
融資枠での証明が最適なケース
- 手元資金が潤沢ではない新規法人
- 運転資金を確保した状態で許可申請したい企業
- 財務内容は良いが現預金が少ないケース
預金残高が少ない場合に最も有効な方法です。
まとめ:融資枠は預金不足でも許可を取れる強力な手段
融資枠による証明は、預金残高が不足していても建設業許可の財産要件をクリアできる強力な方法です。
この記事のポイントを整理すると次の通りです。
- 極度額500万円以上で証明できる
- 実際に借りる必要はない
- 銀行によって発行可否が異なる
- 審査に時間がかかる場合があるので早めの依頼が必要
預金が足りない企業でも許可取得の可能性は十分あります。融資枠をうまく活用して、許可取得へのハードルをクリアしましょう。

