建設業許可に必須の「経営業務管理責任者(経管)」が突然辞任した場合、多くの事業者が不安を感じます。結論から言うと、経管が不在のままでは建設業許可を維持できません。
しかし、適切な手順で代わりの経管を選任し、役所へ必要な手続きを行えば、許可を失うことなく継続することが可能です。
本記事では、経管が辞めたときの正しい対処手順、代替案、注意点、提出書類、許可維持のポイントをわかりやすく解説します。
経管が辞任するとどうなる?──結論:建設業許可の要件を満たせなくなる
経管が辞任すると、建設業許可の「経営管理責任者要件」を満たせない状態になります。許可要件の欠如は重大で、放置すると許可取り消しにつながる可能性があります。
建設業法における経管の位置付け
- 経管は「常勤」である必要がある
- 辞任後は速やかに変更届の提出が必要
- 新たな経管が不在の状態が長期間続くと行政指導の対象に
ただし、辞任=即許可取消ではありません。適切な対応をすれば問題ありません。
経管が辞任した時の正しい対処手順
ステップ①:社内で経管資格を満たす人がいないか最速で確認
- 役員の中に経営経験がある人はいるか
- 個人事業主としての建設経験がある人はいないか
- 管理職としての補佐要件を満たす人はいないか
まずは社内で代替可能な人材を探すことが最優先です。
ステップ②:後任経管の証明資料を集める
経管選任には必ず証拠資料が必要です。
- 登記事項証明書(役員の場合)
- 請求書・契約書・注文書
- 個人事業主としての確定申告書
- 社会保険加入記録(支店長など)
資料が不十分な場合は追加で補強資料を集めます。
ステップ③:経管変更の「変更届」を提出する
辞任したまま放置すると違反となるため、速やかに変更届(専任技術者変更届とセットで提出する場合もあり)を提出します。
提出期限の目安は都道府県によって異なりますが、2週間〜1ヶ月以内が一般的です。
代替経管が社内にいない場合の選択肢(3パターン)
① 建設業経験者を役員として迎える
最も確実でスピーディーな方法。 外部から経管経験者を役員として迎え入れ、変更登記と同時に経管変更届を提出します。
② 経営補佐要件を活用して代表者が経管になる
補佐要件とは、役員経験が5年未満でも、実務経験の証拠が揃えば経管として認められる制度です。
- 常勤で3年以上+補佐経験3年以上
- 契約書や請求書で補佐内容を証明できる
若い代表者でもクリアできる場合があります。
③ 一時的に経管を派遣してもらい、後任を育成する
コンサルや同業者の協力により経管を一時的に迎える方法。ただし、名義貸しは違法なので、実態のある経管のみが認められます。
経管が辞任したタイミングで提出が必要な書類
- 経営業務管理責任者変更届
- 後任者の経験証明資料(契約書・請求書など)
- 役員変更に関する登記事項証明書
- 常勤性を証明する書類(社会保険加入記録など)
書類が不十分だと差し戻され、許可要件を満たさない期間が長くなるため注意が必要です。
経管不在が続いた場合のリスク
- 行政指導を受ける可能性がある
- 更新時に不許可となる
- 最悪の場合、許可取消につながる
「うちの現場はちゃんと回っているから大丈夫」は通用しません。書類上の要件を確実に満たす必要があります。
よくあるトラブルと解決策
ケース1:辞任の連絡が突然だった
→ 社内候補がいるか即調査。いなければ補佐要件を検討。
ケース2:後任者の書類が不十分
→ 契約書・請求書・取引先証明などで補強すれば承認される場合あり。
ケース3:変更届の提出が遅れた
→ 遅延理由書を添付し、速やかに提出する。
まとめ:経管辞任後は“スピード対応”が許可維持のカギ
経管が辞任しても、正しい手順を踏めば許可を失うことはありません。重要なのは、後任の選任と書類準備をスピーディーに行うことです。
本記事を参考に、経管不在期間を最小限にし、事業を安定的に継続させましょう。


