建設業許可とは、一定規模以上の工事を請け負う場合に必要となる国の許認可制度です。建設業を営むうえで欠かせない制度であり、元請として信頼を得るための重要な基盤でもあります。本記事では、建設業許可の「必要なケース」「取得のための5要件」「必要書類」「申請手続き」を初心者にもわかりやすくまとめています。
今後、建設業許可を取得したい、またはメリットを知って判断したいという事業者のためのトップガイドです。
建設業許可とは?
建設業許可とは、建設工事を請け負うために必要となる国の許可制度で、建設業法によって定められています。許可の目的は、建設工事の品質確保・安全確保・経営の安定性を保証することです。
許可が必要になるケース(500万円ルール)
- 請負金額が500万円(税込)以上の工事を行う場合
- 建築一式工事は請負金額が1,500万円以上 または 延べ床面積が150㎡以上の木造住宅
小規模工事のみを行う場合は許可が必須ではありませんが、元請けや公共工事に関わる場合はほぼ必須といえます。
建設業許可が必要な理由(メリット)
- 元請企業からの信用が高まる(取引条件が有利になる)
- 公共工事に参加できる(許可がないと参加不可)
- 業種追加や経審など事業拡大が可能になる
- 入札・大手企業との取引で必須
建設業を継続・拡大するためには、許可は重要な営業ツールでもあります。
建設業許可の種類(一般・特定・29業種)
建設業許可は大きく次の3つに分類されます。
① 一般建設業許可
下請けに出す金額に制限がある一般的な許可。中小企業の多くが取得するタイプです。
② 特定建設業許可
4,000万円以上(建築一式は6,000万円以上)の下請負契約を行う場合に必要。大規模工事を行う企業向け。
③ 29業種の専門許可
建設業許可は工事内容ごとに29の専門業種に分かれています。 大工工事・土木一式工事・電気工事・塗装工事など、業種ごとに許可を取得します。
▶ 参考:建設業29業種の一覧はこちら
建設業許可を取得するための「5つの要件」
建設業許可は、次の5つの許可要件をすべて満たす必要があります。
① 経営業務管理責任者(経管)がいること
建設業の経営経験を持つ人材が必要。法人役員・個人事業主など経営経験に応じた基準があります。
② 専任技術者がいること
各業種ごとに資格または実務経験が必要。 例:電気工事 → 電気工事施工管理技士・電気工事士など。
③ 財産的基礎(500万円以上の資金)があること
残高証明・自己資本額・固定資産などで証明可能。
④ 誠実性があること
不正行為や法令違反がないこと。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
暴力団関係者でない、過去の罰金刑などの履歴がない、など。
▶ 詳しくは:建設業許可の5要件をわかりやすく解説
建設業許可申請に必要な書類
書類は多いですが、全体像を把握すると整理しやすくなります。
主要書類
- 経営業務管理責任者証明書(経歴書など)
- 専任技術者の資格証明
- 財産的基礎の証明(残高証明など)
- 宣誓書(誠実性)
- 役員の住民票・身分証明書
その他必要になる書類
- 決算書
- 工事経歴書
- 常勤性証明書(社会保険・給与台帳など)
- 登記事項証明書
▶ 詳しくは:建設業許可の必要書類まとめ
建設業許可申請の流れ(新規申請)
- 許可要件の確認
- 必要書類の準備
- 申請書の作成
- 都道府県知事または大臣に提出
- 審査(約30日〜45日)
- 許可通知書の交付
新規申請は、慣れないと1〜3ヶ月ほどかかることがあります。
建設業許可の更新と注意点
許可の有効期限は5年。期限切れは「無許可営業」となり重大リスクです。
- 更新は5年ごと
- 満了日の30日前までに申請
- 変更があれば必ず変更届を提出
▶ 詳しくは:建設業許可の更新手続き
許可取得後に必要な手続き(維持管理)
- 決算変更届(毎年必須)
- 変更届(役員変更・住所変更など)
- 専技・経管が退職した際の速やかな手続き
許可取得後の「維持管理」が適切でないと、更新時に問題が発生します。
まとめ:建設業許可は事業の信頼・拡大の基盤となる
建設業許可は、工事規模に応じて必要となる制度であり、元請や公共工事に関わるための必須条件です。5つの許可要件を満たし、必要書類を適切に揃えることでスムーズに取得できます。
各要件や手続きの詳細については、以下のカテゴリ記事でさらに詳しく解説しています。
▷ 建設業許可の基本カテゴリ
▷ 許可要件カテゴリ
▷ 申請手続きカテゴリ
▷ 必要書類カテゴリ
▷ 一般許可・特定許可の違い
▷ 業種追加カテゴリ

