産廃収集運搬許可とは?──建設業者に必要な理由と取得方法をわかりやすく解説

建設現場では、解体工事・リフォーム工事・土木工事など、さまざまな廃棄物が発生します。これらの廃棄物を現場から運搬するために必要なのが「産業廃棄物収集運搬許可」です。

本記事では、産廃収集運搬許可とは何か、誰が必要なのか、取得方法、よくある誤解までわかりやすく解説します。とくに解体業者にとっては欠かせない許可であり、建設業許可とは別物である点が重要です。

産廃収集運搬許可とは

産業廃棄物収集運搬許可とは、事業者が産業廃棄物を運搬するために必要な許可で、都道府県知事が発行します。許可を持っていない場合、産業廃棄物を運ぶことはできません。

建設現場で発生する「がれき類」「木くず」「金属くず」「コンクリートガラ」などは産業廃棄物に該当し、運搬するには必ず許可が必要です。

産業廃棄物とは?(建設業が扱うもの)

  • がれき類(コンクリート、瓦、ブロック)
  • 木くず(解体材・端材)
  • 金属くず
  • ガラス・陶磁器
  • 廃プラスチック類(内装材、樹脂製品)
  • 紙くず(建設系)
  • 石膏ボード

一般的に建設業で発生する廃棄物のほとんどが産業廃棄物に該当します。

誰が産廃収集運搬許可を取得する必要があるのか

以下のケースでは、「産廃収集運搬許可」が必須です。

  • 自社で廃材をトラックに積んで運ぶ場合
  • 解体現場から処分場まで運搬する場合
  • 元請から運搬業務を委託される場合

特に解体業者は、廃棄物の発生量が多いため、ほぼ必須の許可といえます。

逆に、以下のケースでは許可は不要です

  • 許可を持つ「処理業者」に現場で引き取ってもらうだけのケース
  • 廃材を現場に残して元請が回収するケース

つまり、「運搬するのか」「しないのか」で必要性が決まる」ということです。

産廃収集運搬許可には2種類ある

許可は廃棄物の性質によって2種類に分かれています。

① 産業廃棄物収集運搬許可(無害)

建設業者の多くが取得している標準の許可。

② 特別管理産業廃棄物収集運搬許可(有害)

アスベスト、廃油、廃酸など有害物質を扱う場合に必要。

多くの解体現場では「アスベスト」が関係するため、特別管理産廃の許可も必要になるケースが増えています。

許可は「都道府県ごと」に必要(重要)

産廃収集運搬許可は、トラックが走る都道府県すべてで許可が必要です。

例:

  • 大阪の会社 → 大阪府内のみ運搬 → 大阪府の許可だけでOK
  • 大阪から兵庫の処分場へ運搬 → 大阪府 + 兵庫県の許可が必要

この「都道府県ごと」というルールを知らずに無許可運搬をしてしまう事例が多く、罰則の対象になるため注意が必要です。

産廃収集運搬許可を取得するための要件

許可取得には次の要件が必要です。

  • 講習修了(産業廃棄物管理責任者講習)
  • 必要な車両や設備を保有していること
  • 欠格要件に該当しないこと
  • 事業計画・財務内容が適切であること

特に重要なのが「講習修了」で、許可申請者(法人の場合は法人役員など)が講習を受ける必要があります。

産廃収集運搬許可の申請に必要な書類

  • 申請書
  • 定款(写し)
  • 登記事項証明書
  • 講習修了証
  • 車両の車検証
  • 車庫の使用権原証明
  • 誓約書
  • 財務諸表

自治体によって細かな様式が異なるため、事前相談を行うのが一般的です。

よくある誤解と注意点

誤解①:解体工事業の許可があれば運搬もできる?

できません。解体と運搬は別の制度です。

誤解②:下請なら許可はいらない?

運搬するなら許可は必須。元請・下請は関係ありません。

誤解③:県外に少し通るだけなら許可はいらない?

走行する県すべての許可が必要です。

誤解④:講習を受ければすぐ許可が取れる?

書類審査があるため、許可まで1〜3ヶ月程度かかります。

産廃収集運搬許可の更新

許可には有効期限があり、5年ごとに更新が必要です。建設業許可と同様、期限切れに注意する必要があります。

更新時には事業状況、車両状況、講習修了の確認が行われます。

まとめ:解体業・建設業に必須の許可

産廃収集運搬許可は、建設現場から廃棄物を運搬するために欠かせない許可であり、解体工事や建設業者にとって重要な許可です。無許可運搬は重大な罰則の対象となるため、正しい理解と取得が必要です。

産廃許可の取得を検討している方は、以下の記事も参考にしてください。